悩み・気づき
2026.10.22

妊娠中に利用できると良い制度の1位は「短時間勤務」で71.3%でした。「テレワーク・在宅勤務」58.7%、「始業時刻の変更」46.9%が続きます。
経験の有無で比べると、ほとんどの制度で経験がない人の割合が高いなか、「短時間勤務」だけは経験がある人のほうが高い結果になりました。川上氏は、実際に妊娠中に働いた人の多くが短時間勤務の有用性を感じたためだとみています。
コメント欄には、立ち仕事の職場で座れる場所や休憩スペースが欲しかったという声もありました。子の看護休暇のように、妊娠中に使える特別な休暇があればいいという意見も寄せられています。
しゅふJOB総研がこの調査をした背景には、男性の育休をめぐる大きな変化があります。川上氏のコメントによると、厚生労働省の調査で2025年度の男性の育児休業取得率は50.9%となり、育休を取る男性が多数派になりました。
その一方で、男性が育休を取ると「かえって妻のストレスがたまる」と考える人が53.4%いるというデータも、川上氏は紹介しています。育児の負担が、まだ女性に偏っていることの表れだという指摘です。
産後の育休に注目が集まるなかで、その手前の「妊娠中」に働く女性は何に困っているのか。この問いに数字で答えようとしたのが、今回の調査です。
しゅふJOB総研は、結婚や出産などのライフイベントに関わらず、女性が活躍できる社会をつくりたいという思いから2011年に設立されました。妊娠の影響は人によって大きく違います。だからこそ、その時々の体調に合わせて柔軟に働き方を変えられる職場や生活環境を整えることが大切だ、と川上氏は結論づけています。
調査では「仕事中の体調不良への対応」が悩みの1位でしたが、妊娠中の体を守るための仕組みは法律で定められています。
厚生労働省によると、妊娠中の女性から申し出があれば、事業主は母性健康管理の措置を講じることが義務づけられています。正社員だけでなく、パートや派遣社員など、働き方に関係なく対象になります。
医師などから通勤の緩和や勤務時間の短縮といった指導を受けたときは、その内容を「母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)」に記入してもらい、職場に提出できます。事業主は、カードの内容に応じた措置をとらなければなりません。
医師の特別な指導がなくても、通勤の状況や体調に合わせて、通勤緩和や休憩時間の変更を申し出ることができます。体調のことを自分の口から説明しにくい人にとって、医師の指導内容をカードで伝えられるのは心強い仕組みです。
しゅふJOB総研の調査からは、妊娠中に働く女性の多くが仕事中の体調不良や通勤の負担に悩み、短時間勤務や在宅勤務といった柔軟な働き方を求めていることが見えてきました。
体調のつらさは、ひとりで我慢しなくても大丈夫です。母健連絡カードのような仕組みを使えば、医師の指導を職場と共有できます。
気になる症状や働き方の不安があるときは、妊婦健診の機会などに婦人科で相談してみてください。
<情報元・参考文献>
1.株式会社ビースタイル ホールディングス「男性育休取得率50%超の時代に、妊娠中の女性が悩むこと「仕事中の不調」65.7%「通勤時の負担」57.4%」PR TIMES、2026年10月6日
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001152.000003176.html
2.厚生労働省「働きながら安心して妊娠・出産できる職場をめざして 働き方と母性健康管理」働く女性の心とからだの応援サイト
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/sp_work/work/
3.厚生労働省「妊娠中の通勤緩和|母性健康管理に関する用語辞典」働く女性の心とからだの応援サイト
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/glossary/base06.html
4.厚生労働省「女性労働者の役割|職場における母性健康管理の推進」働く女性の心とからだの応援サイト
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/suishin/josei_yakuwari.html