2026年7月16日 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 公式ニュースレターより転載
薄着になる夏は、体型や体重など見た目が気になり、ダイエットへの関心が高まる季節です。一方で、体のエネルギー消費量には季節変動があり、夏は意外と痩せにくい可能性があることが報告されています。今回のニュースレターでは、基礎代謝量の季節変動と「代謝」と「基礎代謝量」との違い、代謝を支える肝臓の役割、そして夏に気をつけたい肝臓の疾患について解説します。
夏は意外と痩せにくい?「基礎代謝量」の季節変動
「夏は汗をかくから代謝が上がる」と思われがちですが、汗は体温を下げるための反応であり、それ自体が「基礎代謝量の増加」を意味するわけではありません。むしろ寒い環境では体温維持のために熱産生が必要になるため、冬のほうが安静時のエネルギー消費量が高くなりやすいと考えられています。一方、夏は外気温が高く、体温維持のために熱を作り出す必要が少なくなるため、基礎代謝量は下がりやすいとされています。近年は空調設備の普及などにより屋内環境が快適になったことで、こうした季節変動は小さくなっているとされる一方で、夏と冬の間には依然として差が存在すると報告されています。¹ 実際、日本人若年女性を対象に1 年間にわたり測定を行った研究でも、安静時エネルギー消費量(RMR)は冬に最も高く、夏にかけて約20%低下するなど、季節によって変動することが報告されています。¹
【図表1】安静時エネルギー消費量の季節変動
※Bonferroni 補正による多重比較の結果、冬と夏の間で有意差(p<0.05)が認められた。
※Noriko Tanaka. Relationship between Seasonal Changes in Food Intake and Energy Metabolism, Physical Activity, and Body Composition in Young Japanese Women を参考に作成。
混同されやすい「代謝」と「基礎代謝量」
ここで整理しておきたいのが、「代謝」と「基礎代謝量」の違いです。日常会話では、「代謝」という言葉が「エネルギー消費(カロリー消費)」の意味で使われることが多く、基礎代謝量を指している場合があります。しかし、医学的には、代謝と基礎代謝量は異なる概念です。
基礎代謝量は、安静にしていても生命を維持するために消費されるエネルギー量を指します。2
一方、代謝とは、糖質、脂質、たんぱく質等の栄養素を体の中で分解し、エネルギーに変えたり、別の物質に作り変えたり、蓄えたりする体内のさまざまな化学反応の総称を指します。3,4
こうした代謝を支えるうえで重要な役割を担う臓器の一つが、肝臓です。3