悩み・気づき
2026.11.05
「脂肪肝はお酒をよく飲む人がなるもの」というイメージが、変わりつつあります。
2023年に脂肪肝にまつわる病名が国際的に見直され、これまで「NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)」と呼ばれてきた病気は「MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)」になりました。日本の成人の約4人に1人が当てはまるとされ、肝臓だけでなく、心臓や腎臓など全身の健康とも関わることが分かってきています。
日本ベーリンガーインゲルハイムが、大阪公立大学の藤井英樹教授の監修でまとめたニュースレターをもとに、名前が変わった理由と、やせている人も気をつけたい理由、女性が健診結果で確かめたい項目を紹介します。
※本記事はベーリンガーインゲルハイムの公式発表(2026年10月13日)をもとに、ManyUp編集部が構成しています。
近年、世界でも日本でも、お酒の飲みすぎとは関係のない脂肪肝が増えています。こうした脂肪肝は、肝硬変や肝がんの重要な原因の一つになってきています。
日本の肝硬変の原因を調べた報告では、2007年までは2.0%だった「NASH」(いまのMASHにあたる病気)の割合が、2018〜2021年には14.6%まで増えていました。

同じ期間に、C型肝炎ウイルスが原因の肝硬変は58.6%から23.4%に減っています。ウイルス性の肝臓病が減る一方で、生活習慣や代謝に関わる肝臓病の割合が大きくなっていることが分かります。
脂肪肝とは、肝細胞の5%以上に脂肪がたまった状態のことです。脂肪肝を伴う肝臓の病気をまとめて、脂肪性肝疾患(SLD)と呼びます。
2023年6月、欧州肝臓学会(EASL)と米国肝臓病学会(AASLD)、ラテンアメリカ肝疾患研究協会(ALEH)は、NAFLDやNASHの病名を変えると発表しました。日本の関連学会もこれに賛同し、NAFLDはMASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)に、NASHはMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)になっています。
名前が変わった理由は主に3つあります。「非アルコール性」という言葉では病気の原因を正しく表しきれないこと、「脂肪性」という言葉が偏見を連想させること、そして病気の中心に肥満や糖尿病、脂質異常症などの代謝の異常があると分かってきたことです。
新しい定義では、脂肪肝があり、肥満や2型糖尿病などの「心代謝系の危険因子」を1つ以上持っている場合をMASLDとしています。

この定義によって、MASLDは肝臓の病気としてだけでなく、心筋梗塞や心不全、脳梗塞などの心血管の病気や、肝臓以外のがん、腎臓の機能の低下とも関わる「全身の病気」として捉えることが、はっきり示されました。